日本一高い山があれば、日本一低い山だって当然あります。その日本一低い山が、仙台にあるのをご存知でしょうか?
その名も『日和山』という名前の山です。
どうせ、宮城に来たなら、ぜひ、登ってもらいたいのが、日本一低い、日和山です。
今回はそんな日和山を紹介します!
日和山に登頂!
日和山は、仙台市宮城野区の蒲生という海辺の地域にあります。(記事後半に地図を掲載しています)標高はなんとたったの3mです。
というわけで、期待に胸を膨らませて、日和山登山に行ってきました。
仙台駅から車で30分ほどで、現地に到着しました。駐車場に車を停めると、早速このような看板がありました。
“登山道”じゃなくて、“遊歩道”なんですね…。
遊歩道は川の堤防沿いにあります。橋がまだできてない(2020年7月3日現在)ため、だいぶ迂回する必要があるみたいです。この辺りは震災の時の津波被害を受けているため、まだまだ荒野が広がっている地域です。
しばらく、歩くと、また看板がありました。山頂まであと296mだそうです。標高よりも遥かに長い距離を歩く必要があるんですね。もちろんここまで、全く平坦な道のりです…。
遊歩道の途中にある3mよりもはるかに高いであろう、川の堤防を乗り越えると、そこには草や湿地が広がっていました。
この辺りは蒲生干潟というそうですね。他にもウェットスーツを着た方々もたくさんいたので、マリンスポーツをするのにも良いみたいですね。
さらに干潟沿いを歩きます。見晴らしが良くて爽快です!
さらに歩くと、行き止まりが見えてきました。そして、その横には木の杭のようなものが、積まれた石の上に立っています。もしかして、これは…。
やっぱり、これが日和山でした!一応、4段だけの階段がありますが、全然山っぽくありません。
この木の杭が立ってる所が、頂上なのでしょう。“山頂3.0M”としっかり書いてありますね。そう書かれても、登ったという達成感は全くありません…。
でも、せっかくなので、ちゃんと登頂した写真なんかを撮りたいなと思いしばらく悩みました。でも、私がこの積まれた石の上に登ったら、山崩れを起こすことは確実です。
というわけで、こんな事もあろうかと、自宅から持参したぬいぐるみ(ジェラトーニ)に登頂してもらいました。
なんとなく微笑んでいるようにも見えます。恐らく日和山に登頂した最初のジェラトーニでしょう。
登頂したジェラトーニを、遠くから撮影してみました。まるで、お供え物のようです…。
日和山登頂までの時間は、潮風に吹かれながら、ゆっくり歩いて10分くらいでした。
登山というよりは、海辺を散歩しただけって感覚です。
普通、山というものは内陸部にあるものというイメージですよね。でも、山の標高というものは、海抜(海面からの高さ)なので、内陸になればなるほど自然に海抜は高くなってしまいます。
だから、日本一低い山になるためには、自然と海辺になってしまうわけです。
どうして日和山は山なのか?
国土地理院発行の日本地図にも、Googleマップにもちゃんと日和山が山として存在しています。しかしながら、お世辞にも山には見えない日和山が、なぜ日本一低い山と認められているのでしょうか?
もちろん、ちゃんとした理由があります。
山の定義
地図上で山と扱われるための定義は、実は曖昧です。
国土地理院によると、地域の住民の共通認識として、山と認められていれば、もうそれは山なんだそうです。
だから、みんなで協力して、その辺の丘を山だとする既成事実を作ってしまえば、山を作ることが可能なんだそうです。
実際に、それまで日本一低い山だった、大阪の天保山も地域住民で山岳会を作ったりして、日本一低い山を正式なものとしたんだそうです。
日和山の存在
しかし、日和山の場合は、昔から山として認識されていました。じゃあ、こんな低い場所が、なぜ山と認められていたのでしょうか?
実は”日和山”という名前の山は、日本の各地にあります。
“日和山”とは、”日和(その日の天気)を見るための山”という意味なんだそうです。
漁師たちが、漁に出ても大丈夫な天気かどうかを確かめる目的の山だったので、”日和山”と呼ばれるようになったのです。
だから、地域住民にとっては、生活の中で重要な意味を持つ山だったんです。
でも、実際に今の日和山は、山の佇まいが全く感じられない場所です。こんな場所がなぜ昔から山と認められていたのでしょうか?
それには、紆余曲折があります。
日和山が日本一低い山に返り咲いた理由
実は東日本大震災の前の日和山は、ちゃんとした山でした。
これが震災前(2004年)の日和山です。当時の標高は6mでした。
HIYORIYAMA GAMOU © タコノマクラ クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(表示4.0 国際)
その後、大阪の天保山が、標高4.5mの山として、日本一低い山になりました。
しかし、震災の津波と地盤沈下により、日和山はさらに低くなってしまいました。
その後、正式に測量した結果、標高3mの山として、正式に地図に載ることになり、貼れて日本一の座を奪還しました。
登頂証明書をいただきました
そんな日和山は、正真正銘の山なので、登頂した人には、仙台市宮城野区が『登頂証明書』を発行していますw
登頂証明書を発行しているのは、日和山の近くにある仙台市高砂市民センターです。
「登頂証明書をください…」なんて、恥ずかしくて言えないなと思うかもしれませんね。でも、お願いすると喜んで発行してくれます。
住所氏名、日和山を知った理由などを書くと、発行していただけます。ちゃんと登頂したことを証明する必要があるので、山頂の写真などを撮影しておくとイイですよ!
というわけで、私もいただいてきました。あと少しで記念すべき1,000人目になれるところだったのに惜しかったです!皆さんは、ぜひキリ番を目指してみてください。
ちなみに、例年だと7月上旬に山開きのイベントを開催しているそうです。
私は山開き前に登ってしまいました。と言っても、たとえ真冬でも、遭難するのが困難な山ですけどね…。
日和山のアクセス情報
日和山は海辺にあるため、公共交通機関を利用すると、どうしても長時間、徒歩で移動する必要が出てきます。
行くならタクシーがおすすめですよ!
【日和山のアクセス情報】
住所 | 〒983-0002 宮城県仙台市宮城野区蒲生町87 |
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駐車場 | あり |
アクセス(自動車) | 仙台東部道路「仙台港IC」から9分 |
アクセス(電車) | 仙台影木から仙石線に乗り、陸前高砂駅から徒歩58分 |
アクセス(バス) | 仙台駅前から仙台市営バス[200]に乗り、中野新町から徒歩28分 |
登頂証明書を貰いたい人のために、仙台市高砂市民センターの場所もお伝えしておきます。
【仙台市 高砂市民センターのアクセス情報】
住所 | 〒983-0002 宮城県仙台市宮城野区蒲生町87 |
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駐車場 | あり |
アクセス(自動車) | 仙台東部道路「仙台港IC」から1分 |
アクセス(電車) | 仙台影木から仙石線に乗り、陸前高砂駅から徒歩11分 |
アクセス(バス) | 陸前高砂駅前から仙台市営バス[78]に乗り、高砂市民センター前から徒歩1分 |
同じ日本一なら、富士山だけでなく日和山にも登山してみてください!
頂上を制覇した時の達成感はイマイチですが、登頂証明書をいただけば、それを補うことができます。
皆さんも、日和山登山をしてみてくださいね!